突発性難聴で動悸と不安感が起こるのはなぜ?鍼灸師が解説します
突発性難聴が起こると同時に動悸や不安感、手足のしびれなどの症状が現れることがあります。
不安感が急に現れたり、急に動悸が出てきたり、急に手足のしびれが起こるというのは自律神経失調症の症状です。この記事では突発性難聴と自律神経失調症について解説し過去の症例をご紹介します。
突発性難聴とは
突発性難聴とは突然片耳の聴力が低下する状態のことを指します。病院で検査をしてもらっても聴力低下以外の異常は見られません。以前は1万人に1~3人程度の確率でしたが近年増加傾向にあります。
特に30代から60代に多く見られ男女差はありません。
突発性難聴の症状
突発性難聴の発症はほとんどの場合一度きりで再発はあまりありません。
- 聴力低下
- 耳鳴り
- 耳の詰まり
- めまい、吐き気
など様々な耳に関する症状が起こりますが程度は人それぞれです。
突発性難聴の原因
- ウイルス説
- 耳周辺の血流障害説
- 極度のストレス
等が原因になると言われていますがはっきりは分かっていません。しかし突発性難聴と同時に自律神経失調症で起こるような動悸や不安感が起こった場合は血流の障害やストレスが原因となって発症していることが多いと考えられます。
ウイルスの感染症で起こる突発性難聴とはヘルペスウイルスが内耳に感染し起こるものです。このタイプの突発性難聴はウイルスが内耳周辺で炎症を起こし難聴を起こすことから自律神経の症状とは関りがあまりありません。
難聴、耳鳴り、動悸を起こす自律神経失調症とは
自律神経失調症とは自律神経の乱れによって起こる症状の総称です。自律神経は主に昼間活動的になっているときに活発に働く交感神経と、夕方以降リラックスしているときに活発に働くづく交感神経に分かれます。この神経は体の血流、内臓の働き、筋肉の緊張まですべてをコントロールしています。この体全てを制御している自律神経に乱れが起こるとと様々な症状を引き起こします。
原因はストレス、不規則な生活、睡眠不足、環境の変化、ホルモンバランスの影響などがあります。
- 頭痛
- 耳鳴り
- 喉の違和感
- 胃腸症状
- 肩こり
- 福通
- 胸苦しさ
- めまい
- 吐き気
- 手足のしびれ
- 不安感
などなど書ききれないほど様々な症状を引き起こすとされています。
突発性難聴と動悸の関係は
今まで突発性難聴と動悸が同様の時期に起こった患者様の傾向からこのような症状の方が多いです。
- 頭痛やめまいがが起こる
- 耳鳴りや耳の詰まり
- 急に胸の辺りが詰まり息苦しくなる
- 寝る前や緊張すると不安感が現れる
- 手足のしびれが出てくる
- 肩こり、首コリがある
- 眠りが浅く、起きてしまう
- 胸やけや胃もたれなどの胃腸症状を起こす。
あくまで当院にいらっしゃった方で突発性難聴と動悸が同様の時期に起こり始めた患者様の症状の特徴をまとめたものです。突発性難聴と動悸が起こっている方はこのような症状も同時に気になっている方が多いのではないでしょうか?これらの症状が突発性難聴と同時に起こった場合はまずは耳鼻科での難聴の治療を行い、自律神経をケアする治療も行う必要があります。
突発性難聴と動悸が同時に起こる原因は?
- 生活習慣の乱れ
- 過度なストレス
- ホルモンバランスの変化
生活習慣の乱れ
睡眠時間が短い、夜勤などで睡眠時間が不規則になると交感神経、副交感神経のバランスを崩し血圧上昇を引き起こしやすくなり動悸が起こりやすくなります。
カフェインの大量摂取も注意が必要です。以前いらっしゃった患者さんで突発性難聴と動悸が同時期に起こった方ですが普段コーヒーを一日に10杯以上、さらにエナジードリンクも飲んでいる日があると話していた方もいらっしゃいました。カフェインの取り過ぎは動悸や頭痛が起こりやすくなりますので注意が必要です。
過度なストレス
突発性難聴を起こしてしまった方のお話を聞いていると結構ストレスをためている方が多いです。
ストレスは交感神経を強く働かせてしまいます。交感神経が強く働くようになると体を常に「戦闘モード」にしてしまいます。これが続くと心拍数が上がりやすく動悸が起こりやすい状態になります。
環境の変化というのは強いストレスになります。仕事内容が変わってなかなか慣れない。妊娠や育児に追われている。遠く慣れない地域に引越ししたなど、環境の変化がある場合は注意が必要です。過度なストレスによって動悸が起こると動悸のストレスによってさらにストレスをためてしまうという悪循環に陥ってしまう場合もあります。
このような生活習慣の乱れや過度なストレスを受け続ける生活を送ってしまうと突発性難聴を起こすリスクも高まります。生活習慣の乱れや強いストレスは人間の自律神経の働きに乱れを起こし血流の流れを阻害し突発性難聴に繋がることがあります。突発性難聴と動悸が同時期に起こる理由はここにありもともと突発性難聴と動悸が起こりやすい環境がそろっていた可能性が高いのです。
突発性難聴治療のため服用し始めたステロイドの副作用による動悸
突発性難聴と同時期に動悸が起こってしまうもう一つの理由はステロイド(プレドニン)の服用により動悸が起こってしまうパターンもあります。多くの場合ステロイドの短期間の使用で副作用が出ることは少ないと言われています。しかし不整脈や高血圧が副作用としてあり、もとから不整脈による動悸があったりするとステロイドの副作用によってさらに強く動悸が出てしまうこともあります。
突発性難聴と動悸が起こった症例
50代男性 郡山市在住
症状と状態
来院の2か月前より突発性難聴が発症しそのころから動悸も頻繁に起こるようになった。
耳鼻科では低音域の音が聞こえにくい突発性難聴と告げられた。動悸は朝から日昼ぐらいまで少し緊張するとドクドクしてきたり会社の中を歩いて移動する際ドクドクとしてくる。もともと不整脈で軽い動悸がるときがあったが問題ないと言われていた。
動悸が気になるので近所の内科、循環器内科、脳神経外科などさまざまな病院へ行ったがどこへ行っても動悸が強く出てきた原因ははっきりわからず、「自律神経の問題じゃないか」と医師に告げられたため検索して当院にいらっしゃった。
突発性難聴の方の聴力はかなり改善していたがつまり感が常にあり、午前中耳鳴りが発生する。
動悸は2か月前よりはましになってきたがまだ朝から午前中にかけて起こる。重要な会議などがあるときは強い日がある。
施術と経過
お体をチェックすると肩こりと首こりが強くあり突発性難聴の反応点も強い反応がある。
しかし本人に尋ねても肩こり、首コリの自覚はないとのこと。耳の詰まりは常にあり。
次に動悸のツボをチェックした。動悸で関連が深い背中のツボ、腕のツボをチェックするとここも緊張が強く出ていた。
まず肩こり、首こりを緩める背中のツボ、首のツボ、腕のツボに鍼を行う。次に動悸に関連が深い鎖骨の骨膜はがしの手技を行った。最後に動悸の背中のツボ、腕のツボに鍼をした。
施術後つまり感はかなり減っている気がするとのこと。
2回目
耳の詰まり感はまた戻っている。午前中の動悸は相変わらずだが体がすっきりした感じがして夜ぐっすり眠れた。
初回と同様の施術に追加し自律神経を整える手のツボも加え施術を行う。
6回目
詰まり感はほとんど消えている。しかし重要な会議がある日や仕事でハードスケジュールが予想される日の朝はつまり感や耳鳴りがまだ起こる。動悸も同様。
10回目
初回の6回は施術間隔を週二回にしていたがそれ以降は週1回にした。
10回目には会議の日やハードスケジュールな日の朝でも動悸やつまりが起こらなくなったため施術を終了した。
まとめ
突発性難聴が起こると同時に自律神経の症状が出てくることはまれにある。もともと要因があり突発性難聴によってストレスがかかり症状が悪化してしまったパターンやステロイドの副作用が出てしまったパターンなど。原因ははっきりしませんがいずれも自律神経を整え反応がある動悸のツボを刺激してあげることで次第に症状は治まっていくことが多い。
最後に
ここまで突発性難聴と動悸の関連について解説しました。
突発性難聴と動悸が同時期に起こることはまれにありその際は自律神経失調症のような症状を伴います。
これらの症状はストレスや生活習慣の乱れにより起こる可能性が高くなります。悪い生活習慣や過度なストレスには注意が必要です。