腰痛の鍼灸について 具体的な回数と治療内容
当院にお越しいただく症状で最も多いのが慢性腰痛に関するご相談です。
この記事では慢性腰痛のこと、鍼灸ではどのように治療をするのかこの辺りを詳しく書いていこうと思います。
腰痛のよくある症状
- 朝起きたときに痛い
- デスクワーク後立つと痛い
- 座っている状態から立つと腰が伸びない感じがする
- 立っているとじわじわ腰の痛みが出てくる
- お尻の方まで痛くなってくる
痛みの強さは人それぞれですが多くの場合、我慢できてしまうことが多いです。
腰痛歴の軽い内は数日〜数週間で治ってしまうことがほとんどです。しかしこれは表面的な「痛み」が取れているだけであってその根本原因は残ったままなのです。
ということは腰痛の引き金となった体のいたる所にできた筋肉の緊張はそのままの状態です。
たとえ痛みが落ち着いたとしても痛みの原因が残ったままだとまた無理をしたときに症状が出てきやすく、これを繰り返すことにより徐々に悪化していきます。
あなたの腰痛歴が長くなればなるほど
- 症状が治りにくくなる
- 別のところにも痛みが出てくる
- 足の痺れも出てきた
- ぎっくり腰が頻繁に起こる
という状態になることが考えられます。
このぐらいになると生活に支障をきたすレベルですね。
腰痛の種類
今回は内臓の病気が原因として起こるもの(尿路結石や胃や十二指腸の炎症、子宮内膜症など)は別にして腰痛の種類を見ていきます。
筋、筋膜性腰痛
慢性腰痛の8割がこの腰痛にあたると言われています。
仕事やスポーツ家事、姿勢不良などによって筋、筋膜に過度な負荷がかかり続けることにより起こる腰痛で背中の痛み、お尻の痛みも同時に起こす場合がある。
骨の異常ではないためレントゲンやMRIなど画像診断で鑑別がむずかしい。
原因
日常生活の中で普段何気なく行っている動作が原因となる場合が多い。
過度なスポーツ、長時間のデスクワーク、長距離運転、中腰での作業、重いものを頻繁に持つなど。
長時間の座り姿勢は筋肉のコリを強める。
長距離運転などは、もちろん強い負荷となりますがデスクワークも腰周囲の様々な部分に悪影響を及ぼします。
お尻の筋肉、背中、首、腕、腿裏などなど
元々腰痛がある方がデスクワークを長時間やると辛くなると思いますがこれだけ様々な筋肉が姿勢の維持のために関わり筋肉が働きすぎることによって
慢性的な痛みを引き起こします。
中腰の姿勢も同様、、、
背中、腰、お尻、股関節、太ももの裏
中腰の姿勢は主にこれらの筋肉の働きが必要となり、長時間の中腰姿勢や頻繁に中腰になることで血行不良を起こし筋肉が凝った状態になります。
なぜ筋肉が硬くなるの?筋、筋膜性が凝るメカニズム
筋肉と筋肉の間には膜があります。これが筋膜と呼ばれるものです。
体の組織にはほとんどこの膜が存在し、骨には骨膜、内臓にもあります。内臓も筋肉ですからもちろん内臓と他の組織の間には膜が存在します。
近年この筋膜に痛みの受容器(痛みを感じるところ)が存在していることがわかり注目されはじめました。
この筋膜の間には間質液と呼ばれる体の体液が流れていることがわかっていますが筋膜の重積(じゅうせき)が起こると間質液の循環が減少し筋膜同士の滑走性が悪くなる。
要は機械のグリスみたいなもので人間の体の部品もオイルで適度に覆ってあげないと次第に固まっていき、それを皮膚から触ると硬い、コリ感が強い状態になります。
ぎっくり腰も筋、筋膜性腰痛
急性腰痛や腰椎捻挫など言われたりもしますがいわゆるぎっくり腰の場合もこの筋筋膜性の腰痛の部類です。
急激に出る症状で熱感を伴い炎症症状を起こす場合もあります。症状が強い場合他の病気もあるんじゃないかと思い救急車を読んでしまう場合もあるほど。
そのくらい強い症状を出すこともあります。
症状
- 物を床から持ち上げた瞬間グキッときた
- 朝起きたら腰の痛みで動けなくなっていた。
- ふと変な体勢をとってしまい腰がズキっとしてきた
このような状態で痛みが発生し日常生活では
- 朝起き上がるのが一苦労
- 椅子から立つのが辛い
- 床のものが取れない
- 立っても腰が曲がる
- 歩くたびにズキズキする
などなど辛い症状が考えられます。
このぎっくり腰一回なるだけでも厄介ですがもっと厄介なのは再発しやすいということ。
一回ぎっくり腰の症状が出てその後早くて一週間。遅くて二週間ほどで動けるようになります。
ここでまた体に負担をかけ続けてしまうと半年後や極端な例だと一ヶ月後に再発するなんてこともあります。
この再発する原因は先ほど説明した腰痛の原因と同じ原理です。
ぎっくり腰の原因
ぎっくり腰も筋、筋膜性腰痛なので多くの場合筋肉が原因です。
ぎっくり腰の場合は腰が悪くて起こると思われがちですが実際は違うところに原因があります。
それはお腹、お尻、背中、の筋肉です。
多くの場合この辺りを狙って緩めてあげると楽に動けるようになります。
要はお腹、お尻、背中の筋肉が硬くなりすぎて体の中で変な張力が発生してしまうのです。
この張力によって腰の筋肉や腰椎が常に緊張状態にさらされることとなります。
ぎっくり腰の本当の原因、お腹、お尻、背中の筋肉を緩めてあげると腰の過度な緊張が緩み痛みが緩和していきます。
ぎっくり腰が繰り返してしまう原因もこれ
ぎっくり腰の本当の原因お腹、お尻、背中、この辺りを緩めてあげないと痛みは取れても原因は残ったままになりまたちょっと無理すると痛くなってしまうという状態になりやすいです。
しかし腰痛以外の原因をしっかり見つけて施術することでぎっくり腰の再発しない状態を作ることができます。
椎間板ヘルニア
背骨の椎体の間には椎間板とばれるクッションのような役割をする組織がなんらかの負荷により椎体を飛び出し神経を圧迫している状態のことを言います。
一般的には足の症状が多いですが腰の痛みも伴うことが多い。
近年では遺伝や喫煙もヘルニアの要因ではないかと言われている。
症状
- 足の痺れ
- 痛み
- 片側の足に症状が出ている
- 感覚障害(触った感じが変)
- 脱力
- 歩行困難
椎間板ヘルニアの診断はMRI検査でわかります。
一般的には三ヶ月から半年程度で症状が収まり徐々に動けるようになります。多くは保存療法で治療が行われますが、日常生活が困難な場合は手術が適応となる。
原因
加齢や遺伝、過度な腰への負担などが考えられます。
お腹の筋肉(大腰筋)の緊張にもよって起こる場合もあり大腰筋が緊張することで反り腰の状態になりやすく、この姿勢で立ち仕事や、中腰、屈む姿勢を繰り返すと負担は腰部の椎間板へと掛かりやすい。
腰痛の鍼灸(しんきゅう)
腰痛には整体やマッサージ、痛み止めストレッチなど自分で選択可能な様々な対処法があります。
その中でも鍼灸をお勧めする理由をご紹介していきます。
即効性
当院で行う鍼灸は特に腰痛患者さんの場合即効性を感じていただける鍼灸です。
一般的な鍼灸のイメージはゆっくり時間をかけないと治らない、体質改善しながら体をよくしていくというイメージをお持ちの方もいらっしゃると思いますが腰痛の根本原因ようは腰以外のポイントをしっかり緩めることができればその場で痛みを取り除くことができます。
もちろん一回で全ての原因がきれいさっぱり取れるわけではありませんので数回の回数は要しますが本当の原因にアプローチすることでその場で違いを感じていただけます。
安心、安全
鍼灸は一番安心で安全な治療法だと考えています。
最近では針も使い捨てのものを使用していますから感染症の心配もありません。
また薬物を使った治療ではないので妊娠中や、薬に頼りたくない方も安心して受けていただくことができます、
治療は最低限の刺激量
当院で行う場合の鍼灸では一回の治療で5本から7本程度に抑えた優しい鍼灸です。原因をしっかり絞り込みさらに絞り込んで治療ポイントを定めることで少ない本数で良い結果を出すことができます。
腰痛の鍼灸ってどこに鍼を打つの?
腰痛の患者さんに鍼をする場合場所は色々です。
腰痛と一言で言っても背中に近い腰だったりお尻に近い腰だったり場所が違っったり感じ方(重い、痛い)が違ったり症状は様々。
ですが腰痛でお悩みの方から事前にどの辺に鍼を打つんですか?
と質問されることが多いのでよく使うパターンを紹介していきます。
まず意外に思われるかもしれないのが腰痛であってもあまり腰自体には鍼しません。
なぜかというとぎっくり腰の部分でも軽く紹介しましたが腰に原因がない腰痛が多いのです。ですから腰以外に鍼を打つことが多いです。
そこで鉄板なのがお尻、太もも、ふくらはぎです。人にもよるので違う場合もありますが体の背面の全体的な緊張が強い場合が多いです。ですからその辺りをざっと緩めるためにお尻や太ももふくらはぎのツボを使ってあげると一気に体の背部を緩めることができます。
あとは背中の緊張が強いパターン。
これは肩こりや背中の凝りも同時に抱えていることが多いです。背中の筋肉も腰に繋がっています。筋肉自体も背中から腰まで広がっているものも多く関係性はかなり強いところです。肩甲骨の間や肩の筋肉に緊張があると腰の動きが悪くなったり体のバランスが崩れ腰に痛みを出します。
そこで背中の緊張を整えるツボに鍼(肩甲骨周辺)をしてあげると動きが良くなりその場で痛みが楽になるということもあります。
実際のツボ
太もものツボ
ふくらはぎのツボ
背中のツボ
腰を楽にする回数の目安
本当に悩んでいる方の多い腰痛ですが空鍼灸院では腰痛専門の鍼灸を行っています。
初診の際に回数の目安などをお知らせさせていただいておりますが、あくまで目安であり強制的に通って下さいというものではありませんのでご安心ください。
ぎっくり腰の場合
3回〜6回
頻度週二回
痛みがあるけどなんとか動ける。
腰が伸びないけど歩けるレベルですと3回ほどで終了することが多いです。
通常2回くらいで痛みは楽になる場合が多いですが残り一回でぎっくり腰の原因などをアプローチしてあげると再発しにくい状態にすることができますので3回程度をお勧めしています。
ちょっと動くのでも痛みが辛い。
ぎっくり腰を何回も繰り返している。
という場合には最初の予防も含め6回程度の施術をお勧めしています。多くの場合3回ほどで日常の動作は行えるようになります。
慢性腰痛の場合
6回 前後
頻度週一回
慢性腰痛でお悩みの方の場合、仕事で負荷がかかるだったり家事が多いなど根本の原因がある場合が多く、これも再発しやすいです。ですから再発予防の回数も含め6回程度をお勧めしています。
2〜3回程度で辛い痛みは治ることが多いです。
椎間板ヘルニア、坐骨神経痛の場合
6回〜10回
頻度週一回
鍼灸で治療を行う場合体の動きで治療を考えるのでヘルニアか坐骨神経痛かという区別は厳密には行いません。
腰痛と足の痺れ、痛みがある場合ですがこれは慢性腰痛が悪化して足まで症状が広がっているパターンが多いため腰痛よりも回数がかかります。
通常3回ほどで辛い痛みは軽減します。しかし坐骨神経痛もぶり返すことが多いので6回〜10回をお勧めしています。